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喜多見柚の”闇”に関する考察

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喜多見柚は元気で明るい、天真爛漫な女の子……それは間違いありません。
ですが、果たしてそれだけで済ませてしまって良いのでしょうか?

 

アイドルは光の当たる部分だけを見ていればよい、輝いている姿だけ見ていた方が幸せだ、という考え方もあるでしょう。
しかし、光と影は表裏一体。
影の部分をしっかり見つめてこそ、光はより一層明るく、眩しく見えるものです……

 

この記事では、そんな喜多見柚の"闇"について私の考察(という名の妄想)をお話しできればと思います。

 

 

 

はじめに ― 喜多見柚とは

喜多見柚の闇について書く前に、まず喜多見柚がどういうアイドルであるか、事前知識の統一も兼ねて紹介しておきましょう。

 

喜多見柚は埼玉出身・埼玉在住の15歳。中学3年生なのか高校1年生なのかは不明です。
学校ではバドミントン部の副部長をやっているそうですが、部活はかなりゆるい感じでやっているらしく、副部長も名ばかりで実際はただのムードメーカー。腕前も、プロデューサーと対決して負ける程度のようです(手加減していた可能性もありますが)。
勉強については「得意な科目…?うーん、まず勉強が得意ってのがさ、ヘンっ」だそうです……。

柚がモバマスで初登場したのはイベント「星降るクリスマス」でした。クリスマスに街を一人でぶらついていた所をプロデューサーに見初められ、スカウトされます。
デレステのコミュ1ではスカウトの経緯がもう少し詳細に描かれており、ドラマの撮影中、飛び込みでエキストラとして参加した柚をプロデューサーがアイドルに誘ったことが判明します。
(今回の記事ではモバマスデレステは同一の時間軸上にあるとして話を進めます。)

スカウトを受け、アイドルになった理由は「面白そう」だったから。
もともと面白そうな事ににすぐ飛びつく性格で、アイドルになりたいという動機が特別あったわけではありません。恐らく最初は軽い気持ちでアイドルになったのだと思われます。

そんな彼女がどんなアイドル生活を歩んできたのか……については、以前の2つの記事(これこれ)でそれなりに詳しく述べているのでそれを読んで頂くか、あるいは皆さん自身で喜多見柚の足跡を辿っていただけると大変嬉しいです。
ただ、今回の記事の主題はアイドルとしての彼女についてではありませんので、これらはご存知なくても大丈夫です。

今回の記事で主にみていくのは、喜多見柚の「少女」としての部分です。
アイドルとしての輝かしい姿ではない、15歳の一人の女の子としての姿。この記事ではあえてその部分に焦点を当て、喜多見柚の心の中に潜む"闇"をのぞき込んでみようと思います。

 

では、本編に入っていきましょう。

 

喜多見柚の"闇"その① 初期Normalの立ち絵

冒頭のアイキャッチ画像は、初期カードの特訓前後です。特訓前はパーカーを羽織り、そっぽを向いて口をすぼめている姿(口笛は吹けないらしい)が描かれており、他のカードで見られる笑顔とは一味違う表情を見せています。

このカードの影響でモバマス初期ではダウナー系の性格だと勘違いされることもあったそうなのですが、実は彼女が笑っていないカードは今のところN特訓前が唯一で、残りのカードは全て笑顔なのです。しかめっ面はおろか真顔のカードすら存在しません。(参考)

シンデレラガールズに限らずゲームの初期絵というのは基本的に、明るい性格なら笑顔、クールな性格なら真剣な表情、自信家ならドヤ顔、といったように、そのキャラクターの性格を端的に表すように作られているものです。
それなのに、喜多見柚の初期絵はなぜかそっぽを向いた表情。明るくパッションに満ちあふれているはずの彼女なら笑顔を描かれるのが当然のハズなのに、よりにもよって初期絵だけが笑顔じゃないというのは、一体どういう事なのでしょう?

このスカした表情こそが、彼女の本質だとでもいうのでしょうか?

 

その② 柚は過去を語らない

冒頭で喜多見柚のプロフィールをかいつまんで書きましたが、実は彼女の過去に関して分かっていることは、冒頭に書いたものでほぼ全部です。 

シンデレラガールズに登場する大多数のアイドルは、アイドルになる以前から何かしらのバックグラウンドを持っているものです。自身の過去を裏付けとして、そこにアイドルとしてのストーリーが加わることで、アイドル活動で何を感じたか、自身がどう変わっていくかという個々人のストーリーが深みのあるものになります。
しかし喜多見柚に関しては、そういった「過去」がほとんど何も分かっていません。
彼女自身が何も語ってくれないのです。

実際、彼女の過去には「何もない」のかもしれません。
喜多見柚のアイドルへのモチベーションは、スカウトされてからずっと「面白い」ただその一点のみです。彼女にはアイドルへの憧れもなければ、過去に何かに打ち込んだ経験も、克服したいコンプレックスも存在しません。
他のアイドルに見られるような「バックグラウンド」が無い、というのもそれはそれで一つの個性ですし、可能性はあるでしょう。 

しかし逆に、本当は語りたくない後ろ暗い過去があるという可能性も考えられませんか?
もしそうだったとすれば……彼女の過去とは、いったいどんなものだったのでしょう?

 

その③ 柚は「目指さない、頑張らない」

喜多見柚は「楽しい事」「面白い事」が大好きです。アイドル活動もそれ自身が面白いからやっているものであり、SSR特訓コミュでは「柚のポリシーは、目指さない、頑張らない!これっ。」と明言しています。
ただ誤解して欲しくないのは、これは「努力したくない」という子供っぽいワガママでは決してなく、あらゆる事に「楽しさ」を見出すための柚なりのスタンスだということです。(詳しくはここ

しかし、この考え方はアイドルになってから強化・洗練されたものであり、初期においては「頑張るのはイヤだ」という後ろ向きな気持ちがあったのは事実です。

「…正直に言うと、面倒くさいのはイヤかなーって。だから、アタシは難しくない仕事がいいなーっ」
「ほどほどに頑張ってー、ほどほどに楽しむ♪これが柚ライフ!ってかんじでお願いしまーす」

(いずれもぷちデレラLv1~10でのセリフ)


アイドルになる前は「ネガティブな『頑張らない』」を持っていた彼女。しかし、アイドル活動を経てその気持ちは「ポジティブな『頑張らない』」へと変わっていくわけですね。

ただ裏を返せば、「頑張らない」という気持ちはアイドル活動を経てもなおずっと持ち続けているということ。
「『頑張らない』から『頑張ります』へ」という王道ストーリーではなく、あえて「頑張らない」へと到達した彼女……彼女がこのようなスタンスに至ったのには、何となくではない、そうさせる「何か」が過去にあったのではないか?と考えるのも、さして暴論ではないと思います。

 

その④ 柚は自己評価が高くない

おちゃらけた性格の柚ですが、その一方で自身に対する評価はあまり高くありません。
自分を卑下しているという程ではないのですが、柚が自身について話をする際は比較的ネガティブなワードを伴うことが多いのです。

「だいたい、これくらい。なにやっても普通って、よく言われる!」
「ほら、アタシ、あんまり前に出るタイプじゃないし。ちょっと下がったところで、みんなを盛り上げるくらいが安心なんだー。」

逆に自分自身をホメることは少なく、あっても冗談半分のような感じで話をしています。
その一方で、他のアイドルに対してはポジティブな言葉で表現していることが多いです。

裕美チャンと一緒だとニコニコするね!」
穂乃香チャンはそのブサイク好きだね! そういうとこがカワイイ!」

 まぁシンデレラガールズにおいてアイドルが他のアイドルをdisることはまずあり得ないので、当たり前ではあるのですが……
ただ、このように他の人のいい所をホメることはできるのに、その言葉をなかなか自分に向けようとはしません。それはなぜなのでしょうか?

 

その⑤ 柚は甘え下手

ここで、喜多見柚の2014年の誕生日セリフを見ていただきましょう。

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「〇〇サンにあまえる柚なんてヘン」「もうちょっとだけ甘えたら、いつもの柚になるから」……このように、柚は誰かに甘えている姿を他人に見せるのはおかしいと思っているようです。

また、柚は誰かにホメられたり、かわいい衣装を着たりした時に照れる傾向があります。

「ホメられると照れる!」
「お、きた!柚にもフリフリの!これは美少女のフリしちゃってもいいってことカナ?」

「アタシもこういうの着れば、なかなか…♪へへっ、へへへへ…」

 
前の④とも重ねて考えると、柚は自身からにせよ他人からにせよ、ホメられる・肯定されるという事自体にあまり慣れていないのではないかと考えられます。

 

喜多見柚の”闇”の本質

ここまで喜多見柚のあまり明るくない部分をいくつか挙げてきました。
これらの点を踏まえて強引に一つの結論を導き出すとすれば、それは以下のようなものになると思います。
すなわち、

「喜多見柚はアイドルになる以前、誰かから褒められるような経験がとても少なかったのではないか?」 

ということです。

 

柚は「何をやっても普通」でした。勉強もそれほど得意ではなく、部活のバドミントンも比較的最近始めたばかりで打ち込んでいるというほどではありません。過去を語ってくれないのは、語れるような過去が無かったからです。
これといって得意なことを持っていなかった彼女は、誰かから褒められたり肯定される機会がとても少なかった。それ故に自分自身を肯定することができず、自信の持てない彼女は何かに真剣になることから逃げ、「頑張らない、楽しむ」というスタンスを固持するに至ったのではないか……?

これが、私の考える喜多見柚の”闇”の正体です。
 

実は、この結論に至るための重要な手がかりがもう一つあります。
それは「喜多見柚は、自分の長所はどこなのか答えることができない」ということ。
 

「〇〇サンに声かけられたってことは、柚には何か光るモノがあったんだろーねー。なんだろ?」
「自分にしか出せない味を、とか言うけど、正直よくわかんないっ。〇〇サンの言う通りに、やってみただけで。」
「柚のイイところ知ってるのは、自分より、〇〇サンなんじゃない?」

 
喜多見柚は、ある日突然アイドルへとスカウトされました。「通行人Aがアイドルになっちゃうなんて」という彼女の言葉が示すように、彼女は、自身がアイドルになれるような素質を持っているとは露ほども思っていなかった。スカウトされるその瞬間まで、彼女は自身のことをただの通行人Aだと思い込んでいたのです。
自己評価が高くない、自分を肯定できないのも、自分の良い所はいったい何なのかを見つけられずにいたから。そして、それを教えてくれる人間も、彼女の周りにはいなかった。
それゆえに彼女は、優劣や良い悪いではなく「面白いか・楽しいか」という所へと、無意識のうちに逃げこんでしまっていたのでしょう。

 

「自分の良い所って、いったい何だろう?」

これに対する答えを持っていなかったこと、持つ機会を得られなかったこと。これこそが彼女の心の中に潜む闇の本質だったのです。

 

おわりに ー 彼女の闇を晴らすこと

喜多見柚のアイドル活動とは、上の疑問に対する答えを導き出す過程でもありました。
アイドルを続けていくにあたり、彼女は「自分自身の長所とは」という疑問に、初めて真剣に向き合うことになります。 

そして、彼女はその一つの答えを導き出します。
イノセントカジュアル特訓後、親愛度MAXセリフにて、彼女は

「〇〇サンがアタシを選んでくれた理由、ようやくわかった気がするんだっ。今の柚、たぶんすごくイイよね。もっと輝きたいな!」

と発言しています。
またぷちエピソードでは、彼女がたどり着いた答えの一つを知ることができます。

彼女が達した答えは何だったのか。そして、それは正解なのか。
それについては、敢えてここでは話さずにいようと思います。
 

筆者なりには、「彼女の良い所とはいったい何なのか」という問いに対して回答を持っているつもりではあります。
しかし、それは決して正解とはなり得ないでしょう。正しい答えとは、プロデューサー一人ひとりがそれぞれ持つべきものだと思います。
 

ぜひ皆さん自身の手で、喜多見柚のストーリーへと触れてほしいのです。
彼女はどんなアイドルなのか、どんな女の子なのか。彼女の良い所とは、いったい何なのか。
あなた自身で、あなただけの答えを見つけてほしいのです。

そして、あなたがそれを導き出した時は、ぜひ私と「答え合わせ」をさせて下さい。